PCOに対するアロマターゼ阻害剤

2014年5月記

お断り

今日(2014年5月)現在、アロマターゼ阻害剤は排卵誘発剤としての効能は認可されておりません
即ち、アロマターゼ阻害剤を排卵誘発目的に使用することは、完全に
適応外使用です
仮に実臨床上、排卵誘発剤として使用する医療機関があったとしたら、それは処方する医療機関(医師)の責任の上で、患者様との十分なインフォームドコンセントが形成され、両者合意の上で処方されている筈です。
よって当然ですが、
本HPはアロマターゼ阻害剤の適応外使用による健康被害等に一切の責を負いません

本HP記載内容はアロマターゼ阻害剤の排卵誘発剤としての利用を認める意図は全く無く、海外の医学雑誌に記載された内容の和訳・解説に過ぎないことを十分ご理解の上、お読みください。

PCO排卵誘発時のアロマターゼ阻害剤の立ち位置

PCOに対する排卵誘発時、排卵誘発剤として「クロミフェン」が使用されるわけです、が、「クロミフェン」は多少癖のある薬であり、妊娠率向上目的に使用する際、上手に使用する必要があるわけです。
また、PCOの程度によっては、「クロミフェン」ではなかなか卵胞が発育してこないケースもあります。

海外の文献上、PCOに対する排卵誘発、というシーンで、「アロマターゼ阻害剤」の有効性を報告する論文が見られますので、「PCO排卵誘発時のアロマターゼ阻害剤の立ち位置」を見てみたいと思います。

なお、しつこいですが、本邦ではアロマターゼ阻害剤は排卵誘発剤としての使用は認可されておりません。完全に適応外使用です。
本HPは、適応外使用による健康被害に関しては、当然ですが一切の責を負いません。十分ご承知おきください。

「クロミフェン150mg v.s. レトロゾール7.5mg」

まずご紹介する論文はこちら。

で、2009年のfertility and sterilityです。
内容は、

ということだそうです。
以下論旨。

ということで、要するに、

という発想なわけですね。
なので、レトロゾール7.5mg v.s. クロミフェン150mg、つまり、各々通常の3倍量での比較検討をしてみた、というわけです。
読み進めます。

とのことで、この先生たちの結論としては、

といった感じです。

「レトロゾール v.s. アナストロゾール」

レトロゾールもアナストロゾールも作用機序は同じで、分類上も同じ「第三世代アロマターゼ阻害剤タイプ2」という分類に入るそうです。
同量だと、薬剤活性はレトロゾールの方が強いようです。
また、製剤としても、レトロゾールは2.5mg錠で、アナストロゾールは1mg錠ですが、両者とも生体内でのアロマターゼ阻害効果は96%以上とのことです。
乳癌治療で求められる阻害効果が95%以上なのだそうで、両者ともかなり強力と言えるようです。
で、ご紹介するのは、レトロゾール v.s. アナストロゾールを検討してあるこちら。

内容は、というと、

という、アロマターゼ阻害剤同士の決戦ということですね。

ということで、この論文では、妊娠率は有意差無しもアナストロゾールかな?という感じの書き方ですが、逆の報告もあるようですね。
結局のところ、アナストロゾールv.s.レトロゾールもそうですが、排卵誘発という視点で見た場合、1mg v.s. 2.5mgという設定が本当にいいのか?という部分もあるわけです。
それこそレトロゾール2.5mg v.s. 7.5mgとかあるのかしら?
etc etcとやり始めると終わらなくなってしまいますので、この辺でお開きにしようかと思います。

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