生理中に性交渉を持つ生活習慣が抗精子抗体形成に関与する?
2014年12月記
「抗精子抗体」が形成されるメカニズムは今の所不明
「精子」は、女性にとってはバリバリの「異物」であるわけです。
精子に暴露して、抗精子抗体が形成されるほうが自然な反応のように感じます。
でも、確かに性交渉によって精子に暴露しても、抗精子抗体を形成しない人もいる。
この、抗精子抗体を形成する/しないの差はいったい何なんでしょうか?
この答えは実はいまだによくわかっていません。
例えば
によると、ある特定のHLA(簡単にいうと、持って生まれた遺伝的体質と理解してもらっても、大きな間違いはないです)に関連しているのではないか?などという報告もあるようです。
そんな中、なかなか興味深い論文が2014年発表されていました。
です。以下論旨。
- 月経中に性交渉を持つ生活習慣を有する女性は3~30%いると報告されている。
- この月経中に性交渉を持つ生活習慣は、女性生殖器の炎症性疾患や性行為感染症の増加につながることが報告されている。
- 今回、月経中に性交渉を持ち、精子に暴露する生活習慣が、抗精子抗体保有率と関連があるのかを調べてみた。
検討対象は57人の原発性不妊女性。
- このうち27人が、ここ3年間以上、月経中に性交渉を持つ生活習慣を有している。
- 残りの30人にはこの生活習慣は無く、コントロールとなる。
- 抗精子抗体の検出法は間接イムノビーズテスト(簡単にいうと精子に、患者さんの血漿(を非働化したもの)を加えて、そのあとイムノビーズテストをします。簡単じゃないですね。抗精子抗体を検出しているわけです。)で行った。
- 50%以上の精子がイムノビーズに付着していれば陽性、10-50%だと、subpositive(まあまあ陽性というか、そんな感じ)。10%以下だと陰性と判定した。
- 今回対象となった57人では「陽性」はいなかった。
- 一方、subpositiveは、月経中に性交渉を持つ群で6/27(22.2%)、コントロール群で1/30(3.3%)で有意差ありだった。
- よって、月経中の精子への暴露は抗精子抗体の形成に関連している可能性がある。
ということです。
で、この考察では、月経中=低エストロゲン(+プロゲステロン)の状態が、女性生殖管内における異物暴露への防御システムの低下と関連しているのだろう、と記載されています。
まあ、単純に想像するに有り得る話ですよね。
そんなわけで、月経中に性交渉を持つこと自体は、悪くは無いと考えますが、コンドームを使うなりして、「精子に暴露しないように」気を付けて楽しむことを、本HPの推奨としたいと思います。