抗リン脂質抗体の有無は体外受精の結果に影響を及ぼさない

抗リン脂質抗体症候群の臨床症状には、習慣性流産が含まれるのは確かだと思います。
妊娠は成立する、でも抗リン脂質抗体の存在により流産が繰り返されてしまうわけです。

で、流産よりも、もっともっと早期に抗リン脂質抗体が悪さをすると着床期血流障害、胎盤(絨毛)形成障害が起こり、これが着床障害になるんではないか?という発想がありました。
つまり、
「"着床障害"の一部は、着床期という超・超早期に、抗リン脂質抗体により"流産"が繰り返し引き起こされているのではないか?」
という発想なわけです。
(↑用語の使い方が全然正しくありません。イメージが伝わりやすいように噛み砕いて説明してあるだけです)

なので、形態良好胚を何度かETしても妊娠成立しない場合、「着床障害」を疑って、「抗リン脂質抗体」をしらべて、陽性に出ると、

といった感じで、"着床障害の治療"としてアスピリン療法やヘパリン療法が行われることがありました。

この考え方は何となく説得力があるのですが、実は現在でも、「抗リン脂質抗体」と「不妊症」の因果関係はまだ明確になってはおらず。アメリカ生殖医学会は、「着床障害」という状況下での抗リン脂質抗体症候群の検査も治療も「not indicated」「not justified」と完全否定しております。
今日はこれをチェックしておきたいと思います。
リンクはこちら

です。ちなみに、PDFで論文そのものも見ることが出来ます。えっと、

です。

「子宮内容除去術」という手術

以下、内容箇条書き。

ということで、最後の結論。

これがアメリカ生殖医学会が出している勧告です。

そんなわけで、「習慣性流産」ではなく、「着床障害」という理由での抗リン脂質抗体症候群のスクリーニング検査、アスピリン療法/ヘパリン療法などの抗凝固療法は、今の所アメリカ生殖医学会では完全否定されています

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