セキソビットを考察する

2012/11記

排卵誘発剤「セキソビット」

内服の排卵誘発剤といえば、「クロミッド」に並んで「セキソビット」というものがあります。
2剤はよく並んで表記されることが多いため、比べられたり、「兄弟」のような感覚で捉えられていたりします。
実際はどうなんでしょうか?

僕が使わせていただいている時の、個人的な感想としては、

といった感じです。
本項ではこの「セキソビット」を考察してみましょう!

「セキソビット」をPubMedで検索してみた。

医学論文検索サイト(真の目的がこれなのかどうかは知りませんが)「PubMed」で「セキソビット」を検索してみましょう。
「PubMed」はこちら

で、「セキソビット」の正式名「cyclofenil」と「不妊」を調べるために

と入れて検索してみましょう。
検索結果が出てきます。
本日(2012年11月16日)現在52件の結果が出てきます。
(2014年2月15日再確認してみましたが、変わらず52件でした。)

この52件というのは多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
試しに「クロミッド」と「不妊」の
clomiphene, infertility
と入れてみてください。
どうですか?その差は歴然ですね。

話を戻しましょう。
cyclofenil, infertility
の検索結果です。上から順に新しい順に並んでいます。
一番上が2004年、次が2001年、その次が1993年です!
つまり1993年以降、世界では「セキソビット+不妊」の論文はたった2本しか発表されていなのです。
すごいでしょ?これが現実です。

どんなシーンで使われるのか?

まず、「生殖医療ガイドライン2007」の記載を見てみましょう。

弱いエストロゲン作用と極めて弱いエストロゲン作用を併せ持つため(原文まま 管理人注:おそらく脱字で、「弱いエストロゲン作用」が正しいと思われます)、クロミフェンに比し排卵誘発効果は弱く適応患者は狭められる。しかしクロミフェンでの妊娠率低下の要因となる頚管粘液の減少や子宮内膜厚の菲薄化が少なく、逆に頚管粘液の増加や子宮内膜が厚くなるとの報告もあるため、クロミフェン無効例に対し有効な薬剤となる可能性がある。

え?まじ?頚管粘液増えたり内膜厚くなったりするの?大事じゃん!
・・・にしても「~~との報告もある」とか「~~可能性がある」とかなんだか回りくどいねぇ。
で?実際どうなのよ?

で、先ほどのPubMedに戻ります。「cyclofenil, infertility」の(今日現在)3番目に出てくる論文、

というのをクリックしてみます。
出てきたページの最後の方にあります。

えっとなになに?シクロフェニルは、これらのパラメーターへの効果は無い
・・・思いっきり否定されてますがな。

もういっちょ、「cyclofenil, infertility」の(今日現在)4番目に出てくる論文、

行ってみましょう。クリックします。
どれどれ、結論は・・・。

いや、これも悲しい位否定されてますがなorz。
(それにしても、英語でもthrow doubtって表現するのね。勉強になった。)

オイオイオイオイ!どーなってるんじゃ?

臨床婦人科産科 63(4) 2009, 438-439の記載はこうなっております。

だそうです。

そういうお前はどう使っているんだ?

では管理人は使わないのか?というとそんなことはありません。
使用するシーンが大きく2つあります(エビデンスが無いので、詳細は内緒)。

正直「私の不妊治療上何をどう改善させる目的で使うのですか?」
と突き詰められると言葉に詰まってしまうかも知れません。

でも、確かに変化してらっしゃる方もいらっしゃいます。
「この周期、私、何かおかしくなったんじゃないかって位おりもの(頚管粘液)が出ます!」
なんて方も確かにいらっしゃいます。

「西洋薬で体質改善」

ぐらいのイメージなのでしょう。
いずれにせよ、過大評価は不要のようです。 

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