潤滑ゼリーの使用は妊孕性に影響するのか?

2014年7月記

in-vitro(体外実験)では精子運動性を抑制するが、in-vivo(実際の使用)では・・・

性交渉が成立する、というのは、冷静に考えてみると結構ハードルが高いものです。
男性側には腟内挿入に十分なレベルの「勃起」の成立が、女性側には腟内挿入に十分なレベルの「潤い」が必要なわけです。
両方の条件がシンクロしないと適正な性交渉が成立しないわけで、「挿入できない」「痛い」といった状態になってしまうわけです。
この状態をアシストすべく、数多くのアイテムが商品化されているのは皆さんご存知の通りです。
その中に「潤滑ゼリー」があります。
僕もお話を伺った上で適応になる、と思った時には使用をお勧めするのですが、有効な方には劇的な効果があるようです。
「人生変わった」とまで言われたことがあります。

しかしながら、この「潤滑ゼリー」そのものを精子と直接混ぜ合わせると、精子運動性を著しく低下させることが知られています
よって、この「潤滑ゼリー」を使用した性交渉では妊娠が成立しにくくなるのでは?という疑問がわくわけです。

ここでは、現行、「妊娠を目指した性交渉での潤滑ゼリー使用」はどのように考えられているのか?を考察してまいりたいと思います。
まずご紹介する論文はこちら。

です。
以下、論旨。

とのことで、この論文では「潤滑ゼリー」の使用は問題なさそうだ、という論調です。
では、潤滑ゼリーと精子を「直接混ぜる」と精子運動性が低下するのに、「性交渉時使用では」問題とならない理由は何か?という点に、この論文では3つの可能性を説明しています。

  1. 「潤滑ゼリー」を性交渉で用いても、外陰部+腟内下部に留まり、腟内上部にはほとんど到達しないのではないか?
  2. 妊娠に寄与する腟内射精された精子は、速やかに子宮頸管内に侵入するので、ほとんど潤滑ゼリーと触れないのではないか?
  3. 「潤滑ゼリー」を使用することで、性的活動度が上昇し、性交回数が増えるのではないか?

そうですね。特に3番目の説明が重要だと思います。
「潤滑ゼリー」の精子への影響を気にするがゆえに、有効な性交渉の妨げになるようだと、本末転倒というわけです。

影響が心配なら・・・

で、fertility and sterilityにも「潤滑ゼリー」についてのコメントがあります。

の633ページ(このPDFの3ページ目)の右下の「Some vaginal lubricants~~」の段落ですね。
サマリーしてみたいと思います。

といった感じです。

といった論調でしょうかね?
そんな感じです。

潤滑ゼリーの使用に関してはこんな感じの論調です。
この辺の事情を抑えつつ、じゃあ具体的にどうすればいいか?は、ピンと来ませんか?

そんなわけで「潤滑ゼリー」、上手に賢く効果判定しながら利用してみてください。
結構色んなシーンで使えるようです。

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