Lesson03:手術をするとすると、どんな流れなのか?


このデーターを頭に入れてください

さて、近年、社会構造の変化に伴う晩婚化、30代後半~40代になってからの不妊患者の増加は、もう僕が論じるまでもありませんね。
結局、妊娠を希望する年齢が押せ押せになってきていて、それがとうとう子宮筋腫の好発年齢といよいよ一致するようになってきているわけです。
で、このページでは、まず、このデーターを頭にいれておいてほしいのです。
出典は「日本産科婦人科学会」のHPで、リンクは

の6ページ目のデーターです。

このデーターは体外受精治療周期のデーターですが、すなわち、女性の年齢に伴う妊娠率の変化のグラフとも読むことができます
非常にインパクトのあるデーターだと思います。
みなさんの実際のご年齢から一年経つと妊娠率がどうなるのかをざっとイメージしてください。

「何歳」ではなく「あと何回」でカウントする

僕が治療に当たらせていただいているとき、よく「40才」と「42才」という2つの年齢を患者様にお話させていただいています。

といった感じです。
ざっと計算してみましょう。
毎月28日周期で排卵するとして、一年に12回の排卵があるとします。
「40才まで」にあと何回排卵がありますか?
「42才まで」にあと何回排卵がありますか?

このように、あと何回排卵が残されているか?を漠然とでは無く、具体的数字として捉えていただきたいのです。
今月の排卵は、単に1回の排卵ではなく
「40才までに残された○回の排卵のうちの1回」
「42才までに残された○回の排卵のうちの1回」
なのです。
ご自身でカウントしていただいた数字に少しびっくりしたのではないでしょうか?
(それとも余裕を感じましたか?) 

子宮筋腫の治療の流れ

では、話を筋腫に戻します。
仮に「手術する」と決断した場合の流れはどんな感じでしょう?
これも先に答えを書いちゃいますが、これが結構、時間を取られます
長いと、なんと一年ぐらい
そう、「筋腫を取る!」と決めてから、「妊娠していいですよ」という状態までに、下手すると一年取られます

何をするのか?というと、まず、術前に「なるべく筋腫を小さくしたい」ということで、Gn-RHアナログ療法というのが行われることがあります。
4週間に1回、ひたすら注射を打って生理を止めます。
生理を止めて、筋腫を小さくするわけですが、当然、この間に妊娠tryはできないわけです。
で、これが、長いと6ヶ月続けます。
で、手術。
「手術が無事終わった!さあ!早速、妊娠try!」
か?というと、多くの場合、
「ダメ。しばらく子宮をお休みさせるために、避妊してください。」
と言われます。
これがまた半年位。一年という医者もいるかもしれません。
(この「避妊期間」にまた諸説あるわけです。)

そういったわけで、フルコースで行くと大事な大事な1年間が取られちゃう!
一年と言ったら、大事な大事な12回の排卵!
しかも、着実に妊娠率は低下している、といった感じになってしまうのです。

筋腫手術に潜む「罠」

そう言ったわけで、実は筋腫の手術は、

とを緻密に計算して、どっちが利益があるのかを計算に計算を重ねて検討すべきなのです。

なんてなったら、手術をするのが逆に裏目に出るということになるわけです。
おわかりいただけましたでしょうか?

同じ原理で「開腹か?腹腔鏡か?」というのもありえるわけです。
「開腹なら来月できますが、腹腔鏡なら筋腫を小さくしたほうがいいので、4ヶ月生理を止めましょう」
と言われたとします。
ここに4ヶ月の差ができます。
4回の排卵です。
残り100回あるうちの4回なら、まあダメージは少ないかもしれません。癒着も合わせて考えると腹腔鏡のほうがいいかもしれません。
39才ならどうでしょうか?
40歳まで残り12回の排卵のうち、貴重な4回を取られてしまう。
これがいいのか?悪いのか?
・・・
「うちの病院、手術予約10ヶ月待ちです。」
なんてのもありますかね?
排卵10回分ですね・・・。

もちろん、価値観も違えば、backgroundも違うわけで、答えは自分で出すしか無いんです。
ただし、よくよく計算して欲しいんです。
「最終的に少しでも「得」をしているかどうか?」
これが決め手なんです。

【POINT】

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