そういうわけで、「子宮筋腫合併不妊」は結構難しいのです。
まあ、例えば35歳までの方とかなら、あまり迷わないわけですね。
時間を多少取られても、まだまだ十分に時間が残されている。
そう言った意味で
「取って良くなる保証は無いが、少なくとも悪くはならないだろう。」
という発想ができる。
後顧の憂いなく決断できるわけですね。
では30代後半~40代になってくるとどうか?
もう一度、日本産科婦人科学会公表のグラフお載せしておきます。
厳しい話で申し訳ないのですが、この場合、はっきり言って
まさに直近、今月の排卵こそが、その方の今からの生涯で最も妊娠率が高い排卵
になっているわけです。
来月の排卵は、今月の排卵には劣るものの、その方の生涯で2番目に妊娠率が高い排卵
になっているわけです。
びっくりなさったかもしれませんが、これが真実です。
生殖年齢後期の方の排卵に対しての発想はこうでなくてはならないのです。
そんな中で、筋腫を手術する、と決断したとする。
しつこいようですが、多くの場合、術前、術後に「妊娠tryできない期間」ができてしまいます。
お話してきた様に、単なる直近数回の排卵ではありません。
その方の生涯で最も妊娠率の高い直近数回の排卵が犠牲になります。
そういうわけで、
に向けて、カツカツの、ギリギリの努力・計算をすべきなのです。
ここまでが、前項lesson03で学んだことでした。
僕ら不妊医者は、そういった「年齢の壁」でもがき苦しんでいる多くの患者様を診させていただいています。
苦しんで、もがいて、歯を食いしばって頑張って、ようやく妊娠したかと思うと流産して・・・、といった40代の方と一緒に苦しんでいます。
現実はそうなんです。
なので、生殖年齢後期の患者様の「直近一回の排卵の大切さ」を身をもって承知しています。
でも、合併する筋腫も何とかしないといけない。
この狭間で悩むわけです。
で、冷静に判断すると、次のような答えが出せます。
つまり
とか
とか
あるいはこんなオプションも可能です。
とか。
その人がその時点で有する最も妊娠率の高い排卵を有効利用でき、筋腫も治療できる
訳です。
非常に理にかなっていると思いませんか?
胚凍結の技術が進歩したので、ARTの技法を使うと、こんなことが可能になるのです。
こうした、ARTの技術を使って、筋腫核出の最大の欠点である「時間のロス」をカバーしようとする治療法は「Surgery-ARTハイブリッド療法(Surgeryは「手術」という意味)」と呼ばれていて、実際に僕自身も行っています。
「僕が名付けの親です」
と言えればカッコいいのですが、残念ながら違います。
ですね。
順天堂大学の先生達の2009年の発表です。
こういった考えが次第に常識になってきています。